建設業の新3Kとは?従来の3Kとの違いや新3Kを実現するために必要な取組を徹底解説!
かつて建設業は、「3K」業界だと呼ばれていました。この3Kとは、「きつい」「汚い」「危険」という言葉がセットになったとても不名誉なワードでした。実は今、建設業界はこの旧式の3Kから新しい3Kに変貌しようとしています。
そこで今回は国土交通省が発表した『新3Kを実現するための直轄工事における取組』をベースに、新3Kとは何か、新3Kを実現するにはどうしたらよいのかについて解説します。
国土交通省が発表した建設業の新3Kとは「給与」「休暇」「希望」の3つです。つまり、「給与がよい」「休暇が取れる」「希望が持てる」業界を意味しており、建設業界における、特に若手の人材不足を解消するためには重要なポイントとなっています。
では、それぞれ詳細を説明します。
新3K① 給与
新3Kの1つ目は、給与です。
『新3Kを実現するための直轄工事における取組』では「労務費見積もり尊重宣言」推進モデル工事を提唱しています。
「労務費見積もり尊重宣言」とは一般社団法人日本建設業連合会が発表したもので、一次下請け企業に見積もりを依頼する際、内訳明示ができる法定福利費に加えて、適切な労務賃金を明示した見積書を提出要請するというものです。建設業界に携わる方の賃金を、全産業労働者平均レベルに近づける目的で作られました。
これを踏まえて関東地方整備局発注の一般土木工事においては、総合評価方式や工事成績評定においてインセンティブを付与するモデル工事を取り入れています。総合評価方式では、以下の2つを満たした場合は1点加点となります。
1.「労務費見積り尊重宣言」の確認
発注者は、入札契約手続きの審査基準日までに、入札・契約参加企業が「労務費見積り尊重宣言」を決定・公表した事実を確認
2.労務費(労務賃金)を内訳明示する旨を記した誓約書の確認
発注者は、入札・契約手続き参加企業から提出された誓約書を確認
工事成績評定では、下請金額3,500万円以上の1次下請を対象として、元請企業と下請企業間の見積書を確認します。もし落札者が総合評価方式の技術評価で加点されていたにもかかわらず労務費が内訳明示されていなかった場合、減点となります。また、総合評価方式の加点は関係なく、工事完了検査時において「労務費見積り尊重宣言」を公表した事実を確認でき、なおかつ見積書に加え注文書に労務費(労務賃金)が内訳明示されている場合は、加点となります。
「労務費見積もり尊重宣言」推進モデル工事とともに、CCUS(建設キャリアアップシステム)義務化モデル工事も推進されています。これは国土交通省が提唱しているもので、WTO対象の一般土木工事において、受注者が「平均登録事業者率90%」「平均登録技能者率80%」「平均就業履歴蓄積率50%」といった基準を達成した場合、加点されるシステムです。
新3K② 休暇
新3Kの2つ目は、休暇です。
週休2日を確保できるよう、適切な工期設定と経費補正を行うことを提示しています。建設業界では2024年4月から、時間外労働の上限が規制されます。労働基準法では1日8時間・週40時間までと決められていますが、企業と従業員の間で36協定を締結することで月45時間・年360時間までの時間外労働が可能です。今まではさらに特別条項を締結すれば実質無制限に労働させられましたが、今回の規制により以下のような制限が加えられます。
・時間外労働は年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・2~6カ月の時間外労働と休⽇労働の合計が、平均月80時間以内
・月45時間以上の残業は、年に6回以上行ってはいけない
・時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6回まで
建設業の時間外労働の上限規制については、こちらで詳細を説明しています。
「建設業界の常識が変わる?残業の上限規制開始で変わることと必要な対応とは?」
この規制を踏まえて、計画的に取り組みを推進していくことが新3Kでは求められています。また、休日を確保するために、国土交通省は「適正な工期設定指針」を発表しました。ここでは河川工事や海岸工事、電線共同溝工事など工事の種類ごとにどのくらいの準備期間が必要か、施工に何日かかるのか、天気やそのほかの理由による不稼働日もあることを考慮するといったことが示されています。
全体の流れとしては、まず契約を締結し、そこから余裕期間を設定。契約上の工事の始期から準備期間に入り、本体工事・仮設工事に着手したら施工に必要な実数と不稼働日を実行期とし、最後に後片付け期間をとります。
新3K③ 希望
新3Kの3つ目は、希望です。
これは建設業界を希望の持てる業界にするという願いが込められています。希望を持つために推進されているのが、i-Constructionです。これは建設現場にICTを全面的に導入して、建設業界全体の生産性向上を図る取組です。
これを実現するため、トップランナー施策というものが3つ提示されています。
1つ目が「ICTの全面的な活用(ICT土工)」です。
具体例として、ドローンなどによる3次元測量や3次元測量データによる設計・施工計画、ICT建設機械による施工、検査の省力化などが挙げられています。
トップランナー施策の2つ目は全体最適の導入です。
設計から組立までの生産工程や維持管理を含むプロセスを最適化するため、全体最適の考え方をベースにサプライチェーンの効率化や生産性向上を目指します。また、材料のサイズを標準化させ、工場製作化を進めてコスト削減や生産性の向上を実現します。
トップランナー施策の3つ目は、施工時期の平準化です。
例年、公共工事は12~3月に増え、4~6月は少なくなります。この偏りをただすことで、限られた人材を有効活用できます。
以上がi-Constructionの概要ですが、その他にも国土交通省は中長期的な発注見通しを公表しました。2020年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」が改正され、災害時の緊急対応の充実強化や働き方改革への対応、生産瀬工場への取り組み、調査・設計の品質確保などが定められています。
さらに、2020年には「建設現場で働く人々の誇り・魅力・やりがい検討委員会提言」を発表。一般市民に対して胸を張れることや、働く人々が仕事を通じて満足できること、一般市民が働く人々の「誇り」や「やりがい」を感じて好意的な関心を持つことなどを目指すための施策が示されています。
新3Kで建設業界が「憧れの業界」に
建設業界を新3Kの通りに改善していくには、各企業の努力が不可欠です。まとめると、具体的には以下の対応が必要となります。
「給与」の改善
・「労務費見積り尊重宣言」に即した促進モデル工事に取り組む
・CCUS義務化モデル工事に取り組む
「休日」の改善
・週休2日対象工事を行う
・「適正な工期設定指針」に沿った工事計画を立てる
「希望」の改善
・i-Constructionに取り組む
・改正品確法を踏まえた環境を整備する
・建設業界のリブランディングに取り組む
やらなくてはならないことが多く「いきなり、こんなに色々なことはできない」という企業の方は、まずは簡単に始められる部分から着手しましょう。特におすすめなのがICTへの対応です。現在時間のかかっているタスクをシステム化することで、余裕が生まれて休日の確保やi-Constructionの実現に近づきます。
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