どんぶり勘定から脱却して、安定経営を実現する工事原価管理改革

「利益が出ているはず」が最も危険。工事利益を見える化し、経営判断を変える方法

工事が順調に進んでいるのに、決算を締めてみると想定より利益が出ていない

——建設業の経営者や工事部長の多くが一度は経験する悩みではないでしょうか。

この記事では、なぜ「どんぶり勘定」が起こるのか、その4つの経営リスクを整理したうえで、実行予算と工事原価管理をリアルタイムに運用することで、勘や経験に頼らないデータ経営へ転換する方法を解説します。

なぜ建設業では「どんぶり勘定」が起こるのか?

建設資材価格は依然として変動が続いており、リアルタイムな原価把握の重要性が高まっている

令和8年6月現在の国土交通省の建設資材価格動向を見ると、

多くの主要資材が上昇基調にあることが分かります。

全国の主要建設資材
価格動向状況
アスファルト合材やや上昇
異形棒鋼やや上昇
H形鋼やや上昇
木材(型枠用合板)やや上昇
石油やや上昇
その他主要資材横ばい
出典:国土交通省 6月の主要建設資材の需給動向は全ての調査対象資材において均衡

このように資材価格が緩やかに上昇を続けている状況では、契約時点で組んだ実行予算(工事着工前に立てる、材料費・労務費・外注費などの詳細な予算計画のこと)と、実際にかかる原価との間にズレが生じやすくなります。工事完成後にまとめて原価を集計する「事後管理」のスタイルでは、このズレに気づくのが工事終了後になってしまい、赤字が確定してから初めて問題を把握するという事態に陥りかねません。資材価格が動く局面だからこそ、工事の進行中にリアルタイムで原価を把握し、早期に対策を打てる体制が求められています。

資材価格変動や原価管理の重要性についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【建設業の方必見!4つの原価費目など工事原価管理のポイントを解説】

利益が見えない経営は、気付かないうちに体力を奪っている

多くの建設会社では、見積書や実行予算はExcel、日々の原価情報は現場担当者の手元の紙やメモ、請求書は経理部門と、情報がバラバラの場所に分散しています。その結果、「その工事がいくら儲かっているか」を正確に把握しているのは現場の担当者一人だけ、という状態が珍しくありません。

さらに厄介なのは、「工程が順調に進んでいる=利益も順調に出ている」という思い込みです。工程の進捗と収益性は必ずしも一致しません。追加工事への対応や資材の急な値上がり、想定外の外注費増加などが積み重なることで、現場感覚では順調に見えていた工事が、実は利益をほとんど生んでいなかった、あるいは赤字だったというケースは決して珍しくないのです。情報が個々の担当者の頭の中や個人のExcelファイルに閉じてしまうことで、経営層はこうした変化にリアルタイムで気づく手段を持てません。

どんぶり勘定が経営にもたらす4つのリスク

① 赤字工事の発見が遅れる

原価を工事完成後にまとめて集計する運用では、赤字であることが判明するのは工事がすべて終わったあとです。この時点では、代替資材への切り替えや追加工事の採算交渉など、利益を守るための打ち手はすでに使えません。手遅れの状態で赤字を「発見」するだけになってしまいます。

② 実行予算が形骸化する

実行予算を着工前に作成しても、その後の予実(予定と実績)を追跡する仕組みがなければ、予算は「作って終わり」の書類になってしまいます。本来、実行予算は工事期間中ずっと更新し続けるべき生きた管理ツールですが、多くの現場ではその役割を果たせていません。

③ 経営判断が遅れる

経営層が全社の粗利(売上から原価を差し引いた、いわば会社の「儲けの源泉」となる利益)状況をリアルタイムに把握できなければ、資金繰りや新規受注の判断、人員配置の見直しといった重要な意思決定は、常に後手に回ります。データではなく感覚に頼った経営判断は、会社規模が大きくなるほどリスクが増大します。

④ 経験が会社に蓄積されない

どの工種で利益が出やすく、どの工種で赤字になりやすいのかというノウハウは、本来であれば会社全体の貴重な資産です。しかし原価情報が個人のExcelや紙に閉じている限り、そのノウハウは特定の担当者の「経験と勘」にとどまり、退職や異動とともに失われてしまいます。

どんぶり勘定とリアルタイム工事原価管理の比較

比較の視点
どんぶり勘定
リアルタイム工事原価管理
利益の把握タイミング完成後にまとめて判明毎日確認できる
情報の管理方法Excelや紙が分散データを一元管理
赤字への対応発見が遅く手遅れになりやすい早期に発見し対策できる
判断の拠り所経験・勘に依存データに基づいて判断
経営スピード判断が遅れがち迅速に意思決定できる

実行予算と工事原価管理が安定経営を実現する理由

「予定」と「実績」の差を把握することが利益改善の第一歩

利益を守るためにまず必要なのは、実行予算という「予定」と、日々発生する原価という「実績」の差を、工事の途中段階で把握することです。

差異が小さいうちに気づければ、より安価な代替資材を検討したり、追加工事分の費用を発注者と交渉したりと、打てる手はいくつも残っています。

逆に差異に気づくのが完成後になってしまえば、これらの選択肢はすべて失われ、ただ結果を受け入れるしかありません。予実管理は単なる事務作業ではなく、会社の利益を守るための能動的な経営活動なのです。

なお、実行予算をいつ・どの基準で計上するかは、工事完成基準や工事進行基準といった会計上のルールとも密接に関わります。この点については以下の記事で詳しく解説しています。 
【【今更聞けない?】建設業の3つの基準を総おさらい!工事完成基準、工事進行基準、収益認識基準とは?】

建設DXによる工事原価管理改革が経営を変える

工事原価管理システムが「勘」に頼る管理から「データで判断する経営」へ変える

工事原価管理のDXとは、単に紙の帳票をExcelに置き換えることではありません。本質的な価値は、原価を「毎日追える」状態をつくることで、利益が減り始めた瞬間に気づき、悪化が深刻化する前に対策を打てる経営へシフトすることにあります。工事原価管理システムを導入することで、次のような項目を日次・週次で継続的に確認できるようになります。

  • 実行予算に対する原価消化率
  • 工事ごとの粗利推移
  • 資材費・外注費・労務費の内訳
  • 追加工事による利益変動
  • 工程別・担当者別の収益状況

これらを常時モニタリングできれば、赤字の兆候を早期に察知し、現場・工事部門・経営層が同じ情報をもとに素早く対応できるようになります。

Excel資産を活かしながらDXを進めることが成功のポイント

建設DXというと、現場が慣れ親しんだExcelを完全に廃止するイメージを持たれがちですが、それは必ずしも成功への近道ではありません。現場が長年使い込んできたExcelの見積書や予算書には、その会社ならではのノウハウが詰まっています。これを否定してゼロから運用を作り直そうとすると、現場の反発を招き、DXそのものが頓挫しかねません。

重要なのは、Excel資産を活かしながらシステムとデータ連携させることです。現場は使い慣れたExcelで入力を続けながら、そのデータがシステムに自動で取り込まれる仕組みを作れば、二重入力や転記ミスをなくしつつ、現場の運用を崩さずにDXを進めることができます。

工事原価管理システムによるリアルタイム原価管理の流れ

工事原価管理システムによるリアルタイム原価管理フロー

e2-movEが実現するリアルタイム工事原価管理

現場・工事部門・経営層が同じデータを見ることで迅速な意思決定を実現

こうしたどんぶり勘定からの脱却を支援するのが、工事原価管理システム「e2-movE(イー・ツゥー・ムーヴ)」です。e2-movEは、受注から実行予算の作成、発注、原価入力、支払までを一つのシステムで一元管理できるため、これまでバラバラだった情報が自然と一箇所に集約されます。

操作性に優れたWindowsアプリと、外出先からもアクセスできるクラウド環境の両方に対応しているため、事務所にいる経理担当者も、現場を飛び回る工事担当者も、それぞれの働き方に合わせて同じデータへアクセスできます。さらに、建設業に関わる法改正にもシステム側で対応しているため、制度変更のたびに運用を一から見直す手間もかかりません。

比較表:どんぶり勘定と工事原価管理システムの違い

比較の視点
どんぶり勘定
工事原価管理システム(e2-movE)
利益把握完成後リアルタイム
実行予算管理作成のみ予実比較を自動化
粗利確認月末・決算時毎日確認可能
データ管理Excel・紙が分散一元管理
経営判断経験・勘データ分析
情報共有担当者依存全部門で共有
資材価格変動への対応対応が遅れやすい差異を早期把握
建設DX限定的業務全体を最適化

「工事原価管理における現場入力から経営判断までの情報活用ピラミッド」

このように、現場で日々入力されるデータが積み上がっていくことで、最終的に経営層の意思決定につながる情報基盤が出来上がります。現場・工事部門・経営層がそれぞれ別々の情報を見るのではなく、同じデータを同じタイミングで確認できることこそが、迅速な経営判断を可能にする最大のポイントです。

FAQ(よくある質問)

Q1. 工事原価管理システムを導入すると、どのような効果が期待できますか?

A1.
最大の効果は、「工事ごとの利益をリアルタイムで把握できること」です。

従来は工事完了後にしか分からなかった利益状況を、工事の進行中から確認できるため、赤字工事の早期発見や対策が可能になります。また、実行予算と実績を継続的に比較することで、資材価格の高騰や追加工事による原価増加にも迅速に対応できます。

さらに、工事ごとの利益分析や部門別・担当者別の収益分析も容易になり、データに基づいた経営判断が実現します。

Q2. Excelで管理していますが、工事原価管理システムへ移行できますか?

A2.
はい、多くの企業では既存のExcel資産を活用しながら段階的に導入しています。

特に、Excelの見積書や実行予算書をそのまま活用できる仕組みを持つシステムであれば、現場の運用を大きく変えることなくDXを進められます。

e2-movEでは、二重入力の削減や入力ミスの防止、データの一元管理による業務効率化を実現できます。

まとめ

● 建設資材価格の変動が続く今、工事完成後の事後管理では利益改善のタイミングを逃してしまう

● どんぶり勘定は
 「赤字発見の遅れ」「実行予算の形骸化」「経営判断の遅れ」「経験の未蓄積」
 という4つのリスクを会社にもたらす

● 実行予算と実績の差をリアルタイムに把握し、Excel資産を活かしながらDXを進めることで、勘に頼らないデータ経営へ転換できる

工事原価管理システム「e2-movE」は、受注から支払までを一元管理し、使い慣れたExcelとの連携も実現しながら、どんぶり勘定からの脱却をサポートします。自社の工事原価管理を見直したいとお考えの方は、ぜひ一度資料請求やお問い合わせから、e2-movEの詳細をご確認ください。

e2-movEの詳細が分かる資料を公開しています

e2-movEとは、全国の建設・工事・建材販売業界400社以上の導入実績がある、工事管理・販売管理を支える画期的なシステムです。

「e2-movEについてもっと知りたい!」「とりあえず、e2-movEの概要を確認したい」
そんな方は、こちらより資料のダウンロードください。

e2-movEのオンラインデモ受付中

e2-movEの詳細な説明をご希望される方にはオンラインデモを実施しております。
オンラインデモをご希望の方は、こちらからお申込みください。

最新の投稿もチェック!

どんぶり勘定から脱却して、安定経営を実現する工事原価管理改革

2026-08-17 15:21

「利益が出ているはず」が最も危険。工事利益を見える化し、経営判断を変える方法 工事が順調に進んでいるのに、決算を締めてみると想定より利益が出ていない ——建設業の経営者や工事部長の多くが一度は経験する悩みではないでしょう […]

資材の急激高騰!その時、しっかり実行予算修正してますか?

2026-07-16 16:39

「見積り通りに終わった工事」は、今や例外? 受注時に積算した実行予算が、工事完了時にそのまま実績と合致していた——そんな時代は、もはや昔話になりつつあります。 2021年以降、鉄鋼・木材・コンクリート・樹脂系資材といった […]

補助金を活用してe2-movEを導入しませんか?

2026-06-04 11:33

建設業を取り巻く課題 建設業界では、人手不足や原材料費高騰への対応に加え、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応など、管理業務の負担が増加しています また、多くの企業でExcelによる工事原価の管理が行われており、 「工 […]

人手不足時代でも無理なく回る工事原価管理体制の作り方

2026-05-20 18:27

建設業界では今、慢性的な人手不足が続いています。 技能者の高齢化と若手不足が進む中、現場だけでなく管理部門にも負荷がかかっています。 こうした状況で多くの企業が直面しているのが、 「業務が回らない」「管理が追いつかない」 […]

工事原価の“見える化”が建設会社の経営を変える理由

2026-04-15 12:33

建設業において、「利益が出ているはずなのに、なぜか資金が残らない」 ――こうした声は決して珍しいものではありません。 受注もあり、工事も順調に進んでいる。それにもかかわらず、最終的な利益や資金繰りに課題が残る。その背景に […]