手形から「でんさい」へ -建設業の資金管理が変わるとき 紙の手形・小切手が2027年3月まで-
長年にわたり、建設業の取引慣行を支えてきた「約束手形」。
しかし、取引のデジタル化が進む中で、手形の持つ物理的コストやリスク(紛失・改ざん・保管コスト)、決済スピードの遅さが顕在化し、電子記録債権(通称:でんさい)への移行が現実味を帯びてきました。特に資金繰りにシビアな中小下請け事業者にとって、支払手段の変化は経営の安定性に直結します。
建設業の実務視点から「でんさい導入で何が変わるのか」「原価管理システムとどう結びつけるべきか」を整理します。
でんさいがもたらす3つの実務メリット

1. 決済の透明性とトレーサビリティの向上
でんさいは債権の記録・譲渡が電子的に管理されるため、取引の履歴(いつ、誰が、どの金額を譲渡したか)が明確になります。手形のような物理的移動が不要となり、取引先とのトラブルや不正の抑止にもつながります。
2. 資金回収の効率化・スピード化
でんさいを利用すれば、債権の譲渡や割引が容易になり、資金化の選択肢が広がります。特に長期工事における売掛金の早期現金化は、キャッシュフロー改善の大きな武器になります。
3. システム連携による業務負荷の軽減
でんさいの取引データを会計・原価管理システムへ取り込めば、支払予定や入金予定の自動反映が可能。手作業での突合程度の作業が削減され、月次・決算の精度と速度が向上します。
実務で直面する課題と対応策

取引先の対応差
大手は既に導入している一方、全ての下請・協力会社が対応済みとは限りません。対応差を前提とした併存運用(でんさい+従来振込)のルール整備が必要です
社内プロセスの見直し
でんさいは仕組みそのものを変えます。経理フロー、承認ルール、支払スケジュールを見直し、担当者教育を実施しましょう。
システム連携の準備
でんさいデータを取り込むためのAPIやファイルフォーマットの確認、原価管理・会計ソフトとのマッピング設計が不可欠です。
原価管理システムとでんさいを“つなぐ”意味

建設業では「いつ・どの工事に・いくら支払われたか」が原価管理の根幹です。でんさいで得られる支払・譲渡データを原価管理に自動連携すれば、工事別の支払残高や支払予定がリアルタイムに把握できます。これにより、
・未払・過払いの早期発見
・工事別キャッシュフローの精緻化
・期末の評価差異(予定原価と実績原価)の早期把握
といった経営判断の精度が格段に向上します。特に複数現場を抱える企業では、経営層が「現場単位の資金状態」を即時に俯瞰できることが大きな強みになります。
導入に向けた3ステップ(実務優先)

1. 取引先マッピング
支払パターンと対応可能な決済手段(でんさい、振込など)を整理。優先対応すべき取引先を選定する。
2. 内部プロセス設計
承認ルート、支払スケジュール、割引・譲渡の運用基準を定める。経理・現場・営業で合意形成を図る。
3. システム連携検証
でんさいデータの取り込みテストを実施し、原価システム上での自動反映・照合フローを確立する。
でんさいは“支払手段”ではなく“資金DX”の起点
でんさいへの移行は、単に支払手段を替える話ではありません。支払情報がデジタルで残ることで、原価管理・会計・財務が連動し、資金管理の透明性とスピードが向上します。建設業のビジネスモデルは工期や契約形態の多様性ゆえに複雑ですが、でんさいを起点に全社的な「資金DX」を推進することで、現場の負担軽減と経営の安定化を同時に実現できます。
まずは自社の取引先状況と経理フローを可視化し、でんさい導入を「部分最適」ではなく「全社最適」に結びつける設計から始めてみてください。e2-movEのような原価管理プラットフォームは、その設計と実行を強力に支援します。
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