予実管理とは?!建設業において、漏れのない予実管理のやり方を徹底解説

目次

  1. 1.予実管理とは
  2. 2.予実管理の重要性
    1. 2.1.建設業であるあるのエクセルでの管理ではどんな問題を引き起こす?
    2. 2.2.建設業における「予算」
    3. 2.3.綿密な予算を組み立てることが重要
  3. 3.エクセルでの予実管理が生む2つの問題
    1. 3.1.◆予実管理の属人化が進む
    2. 3.2.◆コンプライアンス面でシステム導入が求められる
  4. 4.「システム導入」がエクセル管理の問題を解決する?
    1. 4.1.◆属人化問題を解消
    2. 4.2.◆支払いの明確化
    3. 4.3.◆安全協力会費に対応
    4. 4.4.◆完成工事原価報告書作成の負担を軽減
  5. 5.システムを導入して適切な予実管理を

予実管理とは



予実管理とは、企業の数値目標として立てた”予算”と”実績”を比較し、達成状況を管理する一連の手法を指します。ものを売ったりサービスを提供したりする前に「予算(原価計算)」を組むことはビジネスの基本です。

建設業においてはこの予算をもとに工事が始まり、実際にビルを建てたり道路を造ったりしていきます。そして工事が終わった後、実際にどのくらいの原価がかかったのか、売り上げがいくらになったのかを示すのが「実績」です。

予実管理とは、工事が始まる前の段階で予算を組み、工事中はその予算通りに進んでいるかを確認し、終了後に当初の予算通りにできていたのかをチェックする、一連の流れで必要な作業となります。


予実管理の重要性



企業は、なぜ事業を行うのか。その目的は様々ですが、大前提として利益追求があります。物品販売は製品販売業であれば、利益がいくらになるかを計算するために、商品にかかる原価と、売り上げを明確にしなければなりません。

建設業では一つの工事において、人件費や材料費はどの程度かかり、協力会社への支払いはいくらになるか。工事に係わる経費はどの程度かかるのか。こうした総工事原価を、請負金額から差し引いたものが利益です。

しかし他業界と違い、建設業では一つの工事が終わるまでに年単位の時間がかかります。トンネルを通す工事などでは、数十年経ってようやく完了することもあるでしょう。また、土木工事では設計に無い水道管や歴史的建造物が出てきて、工事そのものがストップすることも珍しくありません。

そうしたトラブルも含め長いスパンで行う仕事だからこそ、逐一「予定通り進んでいるのか」をチェックする作業が必要です。「なんとなく」で進めてしまえば、結果として赤字になる可能性も大いにあります。


建設業であるあるのエクセルでの管理ではどんな問題を引き起こす?

エクセルを使って予実管理を行っている企業は、少なくありません。一見問題がないように見えるこの管理方法は、実はある課題を抱えています。

今回は建設業における予算の特色を踏まえ、どんな問題が引き起こされているかをご紹介します。


建設業における「予算」

予実管理を正確に行うため、ここで建設業界における予算について確認しましょう。ほとんどの企業において、予算を組み立てにかかわるのは積算部や工事部と呼ばれる部署です。

積算部や工事部では、ビルを一つ建てる際、設計書を基に柱一本、壁一枚の値段を細かく積算します。そうして算出した積算書をもとに材料費や労務費、外注費・経費なども決まっていきます。

このように積算された原価をもとに予算を組むのが、工事部です。図面や設計書をもとに施主や協力会社と打ち合わせをし、工数を決め、ここにはお金をかける、ここはなるべく絞るなどバランスを考え、実際の予算が確定していきます。

いざ工事が始まってからも、工事部が進捗の管理を行います。例えば本来20万円かける予定だった部分に40万円かかりそうになってしまったら、どうするのか。他を削ることでカバーするのか、追加予算をのせるのか。そうした判断も迫られます。


綿密な予算を組み立てることが重要

建設業では、分業制を敷いている部分が多くあります。例えば、壁の工事で業者を入れようとしても、それが水回りの壁なのかそれ以外の壁なのかで、お願いする業者が変わります。そのため、一つの工事に複数の企業・業者が入っているのが当たり前です。

こういった背景から一つの工事に下請けの、下請けの、下請け……業者がいる形になっていますが、下請けになればなるほど細かく予算を立てていく必要があります。

極端に言えば、ゼネコンであれば工種をまとめて「土木一種」という予算として立てることも可能です。しかし下請けになればなるほど、現場に何人必要か、掘削に何日かかるか、産業廃棄物の処理はどうするかなど、細かく予算立てをしなくてはなりません。

こうした環境の中で予実管理を行うとき最も重要なのは、初めに立てる予算を、綿密で漏れのないものにすることです。実際に漏れをなくすため、予算を立てる担当者の管理が重要となりますし、施主側、元請側も建設コンサルタントが調査したうえで市区町村が競争入札、仕様書をもとに積算をしていくという形も増えています。

このように、建設業において細やかな予算を立て、それを管理していくことが重要となるわけです。しかし、それを実現するための予実管理において、ある問題を抱えている企業が多くあります。


エクセルでの予実管理が生む2つの問題



「予実管理の重要性はわかるが、わざわざシステムを導入しなくても、エクセルで管理できるのではないか」。そう考える企業は多くありますし、実際に現在、多くはエクセルを使っています。

しかし、これはあまりおすすめできません。エクセルではなく、きちんとシステムを導入して予実管理すべきなのです。


◆予実管理の属人化が進む

なぜシステムを導入した方が良いのか。色々な理由がある中でまず挙げられるのが、属人化問題です。エクセルのメリットは、色々な表計算や数式を組み、独自に計算ができることであり、自由度も高いことがあげられます。しかしその分、属人化を引き起こしやすくなるという大きなデメリットも併せ持っています。

属人化が進むと、表を見ても担当者以外は「何がどうなっているかわからない」という状況に陥る可能性があり、担当者が変わったときの対応が難しくなります。また、常に複数の目でチェックすることもできません。組織として管理するためには、こうした状態は避けなければなりません。


◆コンプライアンス面でシステム導入が求められる

最近では世間的にも「システムを導入したほうがよい」という潮流に変わってきていますが、それに加えて経審(経営事項審査)での評点に響くという点があります。

エクセルで予実管理をしているとコンプライアンス意識が低いとみなされ、公共の入札や大きい工事の入札で不利になってしまいます。これは企業経営に直接的な打撃を与えるため、建設業界ではある程度の投資をしてもシステムを導入し始めているのです。

さらに、下請けとして事業を行っている企業は、元請け企業から資料の提出を求められることがあります。このとき予実管理をエクセルで行っていると、コンプライアンス面に難ありという評価になり、結果としてシステムを導入せざるをえない企業も増えてきました。


「システム導入」がエクセル管理の問題を解決する?



エクセルで予実管理を行うと、俗人化が引き起こされ、またコンプライアンスの面からも問題があることがわかりました。

この問題を解決するのが、システム導入です。エクセルでの管理を廃止しシステムを導入するとどんなメリットがあるのか、ポイントごとにご紹介します。

システム導入が解決する予実管理の4つのポイント
エクセルでの管理には色々な問題があることがわかりました。それらを解決するのが、システムの導入です。


◆属人化問題を解消

システムを導入すれば、属人化問題は一気に解決します。というのも、エクセルのように各個人が自分のやりやすいように作業するのではなく、システムによって一律のフォーマットの中で管理するためです。

そこでおすすめしたいのが、予実管理も行えるシステム『e2-movE』です。このシステムの特徴は、「ジャストインタイム」。つまり情報を見たいと思った人が、見たいタイミングで、かんたんに確認することができます。工事部の打ち込んだ情報をすぐに営業部が見ることができ、経営層が各工事の予算をいつでもチェックできる、そうした柔軟な体制が構築されるのです。


◆支払いの明確化

建設業に合わせたシステムを構築できる点も、『e2-movE』の魅力です。例えば建設業においては、資金を回収することはもちろん、支払いを確実に行うことも重要視されています。この点を疎かにしてしまうと企業としての信頼性を著しく低下させるだけでなく、結果として経審の評点が下がったり、システム化しなかったことによって下請法に違反するといった可能性も出てきたりします。

『e2-movE』を導入すれば、「いつ、どこに、どの支払いをしたのか、これからどの支払いをするのか」がいつでも明確になります。支払い忘れや遅延をなくし、常に確実な支払業務を実現できるようになります。


◆安全協力会費に対応

いわゆる一人親方のような協力会費の管理は、煩雑になりがちです。しかしそれでは、現場の安全が保たれません。

協力会費とは、支払額の1~2/1000程度を徴収し、そこから健康診断などの費用を捻出したり、現場用のヘルメットを購入したりする原資です。『e2-movE』はこうした業界特有の予算項目にも対応しているため、かんたんに管理できるのです。システムに設定された比率で自動計算し、煩雑になりがちな作業を漏れなく行えます。


◆完成工事原価報告書作成の負担を軽減

建設業許可は5年ごとに更新が必要ですが、そのときに必要となるのが完成工事原価報告書です。これは原価を材料費・労務費・外注費・経費の4つの要素で分けて、一年間の工事における原価について報告する資料です。

予実管理などをエクセルで管理していると、この報告書を作ることが、煩雑で時間のかかる作業となります。すべての工事の状況を、最低でも月ごとに数字を洗い出し把握しておかないと、更新のタイミングでまとめ作業していては追いつきません。

これも、システムを入れておけば作業にかかる時間がかなり減少します。『e2-movE』では未成工事支出金で工事別に積み上げておいた原価を、工事が完了した段階で完成工事原価に振り替え、その際完成工事原価を4つの要素に自動で振り分けることができるのです。


システムを導入して適切な予実管理を



建設は、一般的な企業と異なる点が少なくありません。工事が完成するまでの時間は長く、その中で、ものの値段や社会制度が変わります。それらに柔軟に対応したシステムの導入こそ、今求められているのです。

また、完成工事原価報告書作成など、業界特有の事柄が多くあることも一因でしょう。そうしたことを全て加味し、適切な予実管理をしていく必要があります。コンプライアンスを守ることも非常に重要。

もともとはエクセルで俗人化していたものの、今では様々な問題が浮き彫りになってきました。経営者の方たちは今まで目をつぶっていたことに、ある程度の投資をしなければいけないところまで来ているのです。今後、より適切に企業経営をするためには、システムの導入をおすすめします。

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