進工業株式会社

進工業株式会社様

創業以来、独創的な技術開発・製品開発により市場を切り開いてきた進工業株式会社様（本社：京都府京都市）。今回は福井県小浜工場に、品質検査に役立つ外観検査装置「Cosmo Finder」を導入させていただきました。

目視では確認が難しい小さな欠陥に悩まされていた

　薄膜技術を活かし、高信頼・超精密級の金属皮膜チップ抵抗器などを製作している進工業株式会社様。薄膜は1/100マイクロメーターという極薄の金属膜で形成され、車載電装機器や工業計器/計測機器、産業機器、民生機器など幅広い分野で、エネルギーの省力化・高効率化に貢献しています。今回は、薄膜の製造過程において外観検査装置「Cosmo Finder」を、福井県小浜工場に導入いただきました。

生産ディパートメント
技術管理セクション
製造技術標準化チーム　リーダー
前田大空氏

担当者様のコメント

製造工程において、不良品の流出を抑えるだけでなく、欠陥のデータを自動で蓄積して改善に繋げられるようになり助かっています。また、目視ではなくシステムを活用した検査にしたことで、当社が大切にしている「スピード感」も向上できました。

導入のきっかけ

　導入のきっかけは、薄膜を製造する際、製品の検査を目視で行っていたこと。数万個単位の製品を5 ～ 6人でチェックすることに、限界を感じ始めていました。担当する従業員は熟練したスキルを持つベテランとはいえ、人の目ではほとんど見えない小さな穴などを見つけることが難しく、検査をすり抜ける不良品をゼロに抑えることは簡単ではありません。そこで2018年頃、目視ではなく機械での検査に切り替えられないか、検討を開始しました。

三谷商事を選んだ理由

　しかし、薄膜という特殊な製品の検査システム開発には高い技術力が求められ、完成までに時間もかかります。いくつかの企業に相談したものの、取り扱う製品が特殊だという理由で、相談に前向きに対応する担当者は少なかったそうです。その中でも、予算の範囲内で期待通りのシステムを提案したのが、三谷商事でした。
　製品の作業内容やプロセス管理を行う前田氏は、当時をこう振り返ります。「三谷商事の方は『難しいから』と諦めるのではなく、どうすれば実現できるかを考えてくれました。また、Cosmo Finderは単に不良品を発見するだけでなく、製品のどの部分に、どんな不良があって、どんな外観になっているかなどを細かく分析できるアプリを活用できます。そのため検査の負担が減るだけでなく、製品製造の改善にもつながる点が魅力で、お願いしたいと思いました」
　さらに新規設備の導入を担当してきた渡邉氏は、作業者にとって使いやすい装置かどうかを重視しました。どんなに立派な機械を導入しても、従業員が上手く使えなければ意味がありません。その点、Cosmo Finderは作業者目線で開発された装置だと感じたそうです。

不良品の流出を防ぐだけでなく欠陥の分析や工程全体の品質が向上

　導入が決まってからは打ち合わせを重ね、機能や細かな操作などを細かく調整し、2020年5月に導入を開始。以前はヒューマンエラーにより一定数の不良品が後工程に流出してしまっていましたが、その数が圧倒的に減少しました。
　また、どんな部品にどのような欠陥が生まれるか傾向がわかるようになり、作業改善にも役立っています。日々のデータを取るだけでなく、欠陥に関するデータを集中的に集めることで、「不良が出る原因は何か」「歩留まり率が高い理由は何か」などを分析しやすくなりました。

自動化により24時間稼働を実現

　さらに、目視での検査は従業員が出勤する日中にしか行えませんでしたが、機械を導入することで24時間稼働できるようになったことも大きな変化です。導入前に比べると、検査できる量は約2倍に増えています。
　検査作業の負担が軽減したことにより、目視を担当していた従業員に余裕が生まれました。これにより他の業務に注力できるようになり、工程全体での品質改善にもつながっています。

現場の従業員に負担をかけない簡単な操作と充実したサポート

　実は、Cosmo Finderの導入に際し、現場からは懸念の声も上がっていたそうです。
「機械の操作は難しいのではないかと心配するスタッフもいました。しかし実際には、そこまで複雑な操作は必要ありません。ボタン一つで動くので、従業員もすぐに慣れることができました。今では『思っていたより簡単』という意見が多いです」（前田氏）
「他の装置と比べても押さなくてはならないボタンの数が少なく、ほとんど自動運転のような形で運用できています。三谷商事の方にオペレーショントレーニングとして使い方を教えていただき、疑問に思ったところは質問して丁寧に対応いただきました。マニュアルもいただけて助かっています」（渡邉氏）

今後の展開に期待

　今回は一部の製品に対してCosmo Finderを導入されましたが、今後はさらに別の工程でも検査機械の導入を検討していらっしゃいます。前田氏が、今後の展望について語ってくださいました。
「目視でチェックしているものは、他にも多々あります。三谷商事の方にご協力いただきながら、最終的にはすべての検査を自動化し、人の目に頼らない工程を確立していきたいです」
　進工業株式会社様では、「Q（品質）・C（コスト）・D（納期）・S（サービス）・S（スピード）を改善し、顧客満足度を高める」という経営基本方針を定めています。これをより確実に実現するためにも、三谷商事として一つひとつの工程に応じたシステムを開発していく予定です。