導入事例

デジタルカメラと画像解析・計測ソフトウェアを組み合わせた「顕微鏡ソリューション」で新市場を開拓

OMデジタルソリューションズ株式会社様

ミクロの世界を観察する顕微鏡。その顕微鏡分野に、デジタルカメラを活用するというビジネスチャンスを見いだしたOMデジタルソリューションズ様(本社:東京都)。撮影した画像の合成・計測を行う工程に、三谷商事の画像解析・計測ソフトウェア「WinROOF CLOUD」を採用いただきました。

顕微鏡のBtoB市場における デジタルカメラの可能性を探る

 オリンパス株式会社の映像事業部門を前身とし、カメラ、双眼鏡などを主力製品とする光学機器メーカー、OMデジタルソリューションズ様。カメラ・レンズ製品では「OM-D」「PEN」「M.ZUIKO」などの優れた性能を誇るブランドで写真を愛する人々を魅了し続けています。
 同社では2021年秋、新たな市場開拓を目的として、従来とは異なる光学機器の活用方法を模索するプロジェクトが発足。その中で有力視されたのが、顕微鏡分野におけるデジタルカメラの活用でした。
 この経緯について、光学製品開発を担当する開発 光学開発 部長・加藤茂氏は次のように振り返ります。
「従来のコンシューマー(消費者)向け市場以外に、ビジネス向けの市場にアプローチできないかという議論になりました。その中で、弊社のカメラには接写に強いという特長があるため、顕微鏡に代わる機器としての需要を掘り起こせるのではないかというアイデアが出ました」

ご担当者様写真

開発 光学開発 部長
加藤 茂 氏

担当者様のコメント

現在、すでに顕微鏡をご使用中の皆様にも「デジタルカメラでここまでできるんだ」ということ、特に弊社の強みであるマクロレンズの有効性を知っていただければ幸いです。

デジタルカメラの「撮る」と ソフトウェアの「測る」をセットに

 このアイデアについては同社の開発部門で使用してきた二種類の顕微鏡、試作部品の観察と記録撮影を行う「実体顕微鏡」と、試作部品の寸法を計測する「測定顕微鏡」がヒントになりました。
「実体顕微鏡に関しては、これまでにも既存の顕微鏡の接眼部にコンパクトデジカメを装着して記録撮影を行ってきました。こうした顕微鏡とデジタルカメラの組み合わせを、デジタルカメラ単独で置き換えられないかと考えたのが出発点でした。
 顕微鏡で観察する視野は、倍率によりますがおよそ1mm四方が主な範囲となります。一方、産業用のFAカメラの視野だともう少し大きく、ハガキサイズほどの範囲。弊社のカメラだとその中間、切手サイズほどの視野をカバーしつつ高解像度での撮影が可能です。そこにビジネスチャンスがあるのではないかと考えました。
 以上に加えて、撮影対象の寸法を計測する測定顕微鏡の機能を代替してくれるソフトウェアを探していたところ、WinROOF CLOUD(ウィンルーフ クラウド)にたどり着きました」(加藤氏)
 WinROOF選定の経緯について加藤氏は、「まず顕微鏡用の計測ソフトを調査しましたが、どれも顕微鏡本体とのセット売りが基本で、非常に高額でした。次にフリーソフトなどを調査しましたが、操作性に難があり、恒久的に使用できる保証もありませんでした。最終的には、ソフト単体で購入でき、機能・価格面でも条件にマッチしたWinROOFのほぼ一択という結果となりました。また、トライアル版があることや、各機能の活用事例が豊富に紹介されていたこと、オプション機能を試しながら1年単位で契約を変更できることも非常にありがたかったです」とポイントを挙げました。

①専用PCソフトからの操作でブラケット撮影された画像は即時転送され、すぐに3D合成処理が可能。インターバル撮影も可能。

「フォーカス合成」の有効性。 「切手サイズ」の撮影視野も好評

 デジタルカメラとWinROOFを組み合わせた顕微鏡ソリューション。同社で新事業開発を担当し、販路開拓に取り組んでいる新事業開発室 室長・登坂隆弘氏に導入後の効果をうかがうと、「機能的には、弊社のカメラで複数枚撮影した画像に対してWinROOFの『フォーカス合成』機能を使用すれば、1枚の綺麗な合成画像が作成できます。これは期待通りの成果が得られたと感じています」との評価をいただきました。
 さらに商談先での反応については、「昆虫・植物などの自然科学分野のお客様から良い評価をいただくことが多いです。先ほどの『切手サイズ』の撮影視野を活用すると、昆虫の全体像を捉えつつ、その一方で各部位の細かい模様までも視認できるなど、幅広いスケールを行き来しながら観察できる点もご好評をいただいています」と語りました。
 また、加藤氏は「弊社機器の性能面においては、ミラーレス一眼に高解像マクロレンズを組み合わせた8000万画素の『ハイレゾショット』で広範囲を高精細に撮影でき、顕微鏡とXYステージでの画像連結の代用として機能すると再認識しました」と手応えを語りました。

②M.ZUIKOレンズに詰め込まれた高精度な部品を確認できる150-400mmレンズの分解展示。

「持ち歩ける顕微鏡」を強みとして 総合的ソリューションを目指す

 そして、オリンパス時代から受け継いできた「小型軽量で機動力のあるカメラ」という特性はフィールドワークとも相性が良いとのこと。
「研究調査の現場では『持ち歩ける顕微鏡』をキーワードに、弊社のコンパクトデジカメ・TG-6が活躍できると期待しています。撮影時に対象のサイズが計測でき、同時にGPSと連動した位置情報も記録できるなど、ワンストップで複数の情報のデータ化が可能になるため、『これは本当に便利です』というお声をいただきます。また、小中高校の理科の課外学習などにも活用できるのではないかと可能性を感じております」(登坂氏)
 今後については「弊社の社名にもありますように総合的な『ソリューション』を強化していくことを目指します。例えば、撮影した大量の画像の処理・管理を行うワークフローなどについてもサービスとして提供できるように開発を進めていければと考えています」(登坂氏)と先を見据えました。

③TG-6の顕微鏡モードでは、印刷面にレンズを密着させて最大44.4倍の拡大観察及び撮影が可能。 

お客様よりひとこと

 私自身が「好奇心」を持ちながら、お客様に気軽に「触れて、試していただける環境」をご用意することで、弊社の製品・ソリューションの有用性を実感していただければと思っております。

写真
  • 新事業開発室 室長
    登坂 隆弘 氏

OMデジタルソリューションズ株式会社

  • 所在地
    東京都八王子市高倉町49-3
  • TEL
    042-642-8476
  • URL
    https://om-digitalsolutions.com/
  • 設立
    2020年10月9日
  • 事業内容
    カメラ等の光学機器やその他精密機器の製造販売、修理並びに賃貸