導入事例

電子決裁システム「e-決裁plus」を導入。学内の「決裁」と「公文書管理」のデジタル化に成功

国立大学法人金沢大学様

 官公庁や自治体などで求められる事務作業や行政文書のデジタル化。その大きな流れの中で、国公立大学における学内業務のデジタル化も全国に波及しつつあります。2021年3月、電子決裁システム「e-決裁plus」を導入した金沢大学様の事例をご紹介します。

決裁は「紙ベース」が 当たり前という空気

1862年(文久2年)に設置された加賀藩彦三種痘所を源流とし、2022年で創基160年を迎える金沢大学様。2022年5月に金沢大学未来ビジョン『志』を策定し、「オール金沢大学で『未来知』により社会に貢献する」をテーマに、日本海側に位置する基幹的国立総合大学として多様な人材を輩出し続けています。
 同学では2021年3月、電子決裁システム「e-決裁plus」を導入しました。
 電子決裁システム導入の話が持ち上がったのは、2018年の秋頃。それ以前は会計・人事・医療事務など分野別の業務システムは運用されていたものの、一般的な決裁システムは導入されていませんでした。現在の法人文書管理を担当する総務部総務課法規係 係長・入口康彦氏は当時の状況を振り返ります。
「当時はすべて紙ベースでの決裁でした。Wordなどで稟議書を作ってプリントアウトし、決裁者を順番に回って判子をもらうという流れ。不便ではあるけれどもそれが当たり前だという空気もありました」

ご担当者様写真

総務部総務課法規係
係長
入口 康彦 氏

担当者様のコメント

全国の国公立大学の中でも早い段階でデジタル化できたのは大きな成果だと捉えています。また、業務効率化により関係者の皆さんが本来の仕事に力を注げるようになる一助にもなったのではないかと感じております。

「電子決裁から公文書管理までを 一元管理できるシステム」を目指す

 その空気が変わるきっかけの一つとなったのが、2019年3月のこと。内閣総理大臣決定として「行政文書の電子的管理についての基本的な方針」が発表されました。
「前提として、国立大学法人は国が定めている公文書管理法という法律の適用下にあります。それが、この内閣総理大臣決定によって、公文書の管理を本格的な電子的管理に移行する方針が明らかになりました。それまでの『公文書の管理は紙ベースが当然』という大前提が変わることになったわけです」(入口氏)
 導入に向けては「電子決裁」を一つの柱、もう一つの柱を「公文書管理」とし、「電子決裁から公文書管理までを一元管理できるシステム」を大きな方針として掲げました。先行して同様のシステムを導入済みである他の国立大学を調査したのち、一般競争入札を実施し、「e-決裁plus」を提案した三谷商事への発注が決定しました。
 発注に至ったポイントとして入口氏は、「紙ベースでの文書管理における問題点は『検索性』で、ファイルに綴じられた書類を探すのに手間がかかります。それが電子的に管理できれば検索性が向上し、業務の効率化を図れるのではないかと期待しました」とし、発注先の三谷商事については「こちらからの質問にもスムーズに回答をいただけるなど、レスポンスの早さを感じました」と評価しました。

人事異動にも対応する決裁機能。 セキュリティの面でもメリット

2021年3月、電子決裁システム「e-決裁plus」の運用を開始。大学職員を中心に約500名がこのシステムを利用することとなりました。導入後にもたらされた成果について入口氏は、「最初は利用者の皆さんの中でも戸惑いがあったようです。導入当初は電子決裁の利用は僅かでしたが徐々に向上し、2022年度に入ってからの3ヶ月間の電子決裁率は約80%と大幅に向上しました。また、事務局における印刷用紙の購入量も2021年度は前年度に比べて約30%減を達成しました。確実にデジタル化が進んでいると感じています」と手応えを語りました。
 また、「e-決裁plus」の個別機能について、「電子決裁では申請時に『個人宛て』や『役職宛て』など、決裁ルートを詳細に設定することができます。また人事システムと連携していて、例えば4月1日に人事異動が多数発生した場合でもスムーズに決裁が引き継がれるようになっています」とし、加えて「決裁時の添付ファイルをブラウザ上で開いてコメント入力までできるのも便利ですね。添付ファイルを端末にダウンロードする必要がないので、セキュリティの観点でも優れていると感じています」とメリットを挙げました。

業務効率化と入力ミス削減を達成。 組織の意識決定もスピーディーに

 また、「公文書管理法では書類の保存形式がPDF/Aと定められているのですが、決裁時の添付ファイルをシステム側でPDF/A形式に自動変換してくれるのも助かっています」と、業務負担が軽減したことにも言及。さらに、「公文書には保存期限が定められているのですが、これまでは紙の書類を綴じたファイル名と保存期限をExcelシートに入力していたため、しばしば入力ミスが発生していました。それが今回のシステムでは保存期限が満了した文書を自動的に抽出してくれるので、正確な執行ができるようになりました」と変化を語りました。
 そして、「もう一つ大きな成果を挙げるとすれば、このシステムはスマートフォンでも利用できますので、出張や在宅勤務など職場を離れた場所でも決裁手続きが可能です。おかげで組織としての意思決定が格段に速くなったのを実感しています」とし、今後については「まずはこのシステムを学内にさらに推進していくことが肝要だと考えています。また、各部分を最適化しても全体を最適化しないと組織としてのパフォーマンスは向上しません。学内のルールを担当する法規係として、全体を俯瞰する視点を持って業務を進めていきたいと思います」と展望を語りました。

国立大学法人金沢大学

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営業担当よりひとこと

 印鑑・紙文書管理をデジタル文書管理へと移行期のシステム導入に携わらせていただき、光栄に存じます。
 今後もご意見を頂きながら、お客様と共により良いシステムへと成長していけるように努力していき、生産性の向上に貢献したいと思います。

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  • 情報システム事業部
    金沢支店 営業課
    西本 徹