ネットワークインフラの運用をAI(人工知能)に依頼する時代が到来!2兆円の価値?!ジュニパーネットワークスのMist AI とは?

ネットワークインフラの運用をAI(人工知能)に依頼する時代が到来!2兆円の価値?!ジュニパーネットワークスのMist AI とは?

いまやAI は、DXを推進していく上で切り離すことのできない要素となり、ITインフラ管理においてもAIが変革を起こしています。今回はネットワークインフラの運用管理において大きな変革をもたらしたMist AIについてご紹介します。

Mist AIですが、ネットワーク機器の業界では老舗とも言える米Juniper Networks(ジュニパー)社が2019年に買収した米Mist systems(ミスト)社のネットワーク運用AIの総称となりクラウドサービスとして提供されています。ジュニパー社といえば大型通信設備、データセンター用のハイエンドのルーター、スイッチのイメージがありますが、Mist AI 及びクラウド制御された無線アクセスポイント、LANスイッチ、SDWAN ルーター等を日本では2020年より本格的に展開を開始して、導入実績を増やしています。

そして今年2024年1月初旬になんと米Hewlett Packard Enterprise(HPE)社が、なんと約140億ドル(記事執筆日の1ドル147.88円換算で2兆0703億円)という金額で買収の意向を示し、ジュニパーネットワークスも買収に向けての合意を発表しました。

米HPE 社の発表
https://www.hpe.com/us/en/newsroom/press-release/2024/01/hpe-to-acquire-juniper-networks-to-accelerate-ai-driven-innovation.html

米ジュニパー社の発表
https://blogs.juniper.net/en-us/driven-by-experience/juniper-networks-to-combine-with-hpe-accelerating-ai-native-networking-leadership

プレスリリースの内容を要約すると、

  • 2社が協力することでネットワークソリューションのポートフォリオの高度な補完関係を構築し、HPE が提唱するEdge-to-Cloud戦略がより強化されること
  • AIによるネットワーク運用(AI ops)が普及することで、利用者のユーザーエクスペリエンス(快適さ)やオペレーターエクスペリエンス(管理の容易さ)をより優れたものとする
  • HPE Aruba NetworkingとMist AIが連携

両社ともにWi-Fi及びLANネットワークの分野では、以下の通り第3者評価機関のレポートでもツートップを走るプレーヤー同士であり、ネットワーク管理と利便さが向上することに期待が持てます。
https://www.juniper.net/us/en/forms/gartner-2022-mq-wired-wireless.html

さて日本ではHPE社の Aruba networks は知名度も高くWi-Fi及びスイッチ製品を提供しており、三谷商事としても多くの導入実績を有しております。
また、ジュニパー社の事例や導入実績を見ると著名な大学、有名企業への導入も多く、三谷商事でも導入実績が増えてきております。

参考記事:三谷商事 Mist AIファミリー導入事例
https://japan.zdnet.com/paper/30001719/30007585/

それではMist AIとはどのようなソリューションなのか簡単にご紹介させて頂きます。

[Mist AIソリューションの概要]

Mist AIソリューションはジュニパーネットワークスが提供するAI駆動のネットワークソリューションで、主に企業向けのワイヤレスおよび有線ネットワーク(LAN、WAN)環境の管理と最適化を目的としています。このソリューションは専用ハードウェアに対して、クラウドベースのアーキテクチャとAI技術を利用して、ネットワークのパフォーマンス、可視性、およびトラブルシューティングを強化します。

[Mist AIソリューションの製品ポートフォリオ]

Mist AI製品のポートフォリオの主要な専用ハードウェアは、

  • 無線アクセスポイント(高密度環境〜小規模拠点向け、屋外モデル等)
  • 有線スイッチ(データセンター、キャンパス、小規模拠点用途等)
  • SDWANルーター/FW(独自技術SVR搭載のSDWANルーター、従来型VPN&ローカルブレイクアウト可能な簡易SDWANルーター)

以下の図1の通り、WAN・LANにおける必要なハードウェアをフルスタックで提供が可能です。

図1:Mist AI製品のポートフォリオ

そしてハードウェアをMist AIで管理するための機能が提供されています。

  • Wi-Fi、有線スイッチ、WAN毎のMist AIによるSLE達成度可視化、根本要因分析、障害時の自動パケットキャプチャ、電波自動調整等の運用向け機能とZTPを含む各種設定管理等の基本機能
  • AIアシスタント(名称はMarvis)による問題箇所の提示と解決のためのアドバイス提示
  • Bluetooth による高精度位置情報機能の提供
  • 位置情報と連携し仮想ビーコンからユーザーへの各種アクション実行
  • IoT、BYOD向けのマルチPSKの提供(Access assuranceは日本国内では今年春に提供予定)
  • 動線行動分析や混雑アラート、近接トラッキング等の高度な分析機能

用途に応じたハードウェアを選択し、必要な機能を含むサブスクリプションを必要な期間と数量を購入することで利用が可能となります。

次にMist AIがクラウド型管理ダッシュボード経由で提供される機能ついて、ニーズが高い主要機能をいくつかご紹介させて頂きます。

SLE=ユーザ・エクスペリエンスの可視化

Mist AIはネットワーク管理者が定めた目標値の達成状況を分析し、SLE=ユーザーエクスペリエンス(快適さ)を可視化します。

図2:Mist管理ダッシュボード SLEの達成状況

端末が接続するWi-FiにおいてはSLEは7つの指標が定義されており、スループットや端末が受信する電波出力、ネットワークに接続するための認証完了までの時間、APの収容状況等を目標設定に応じて相関的に分析して達成状況を提示してくれます。
またMist AIは設定された目標を達成するために、利用環境を学習し電波調整を自動で行う等のアクションを実行します。
SLE を可視化することで、利用者がネットワークに接続可否だけでなく、想定どおりに快適に利用できているか?を把握することができ、利用者数の増減が当初の設計の想定外となった際もどの程度のズレが発生しているのか?等も把握することで増強や縮小の判断目安にもなります。
そしてなんらかのトラブルが発生し、SLEが低下した際は、サービスレベルの低下原因と影響割合を提示してくれます。

Root Cause Analysis (根本原因解析)の可視化

Mist AIが様々なログの解析を休むことなく実行していることで、低下しているSLEをクリックするだけで、原因と影響時間、対象端末まで即座に特定を行うことができます。

図3:Mist管理ダッシュボード SLE低下要因のドリルダウン分析

図3では、ネットワークへの接続成功は88%、つまり12%は接続失敗が発生しており要因はDHCP検出への応答がないことが主要な原因として結果が表示されています。
要因分析は無線以外にLAN、WANの有線部分で発生した問題も含めて分析と原因表示が可能となっています。
そして図4のとおり障害箇所のログ抽出と自動パケットキャプチャがなされており、一般的な調査で必要となる事象再現が不要となり、トラブル調査の時間を大幅に短縮が可能となります。

図4:Mist管理ダッシュボード インサイト画面と自動パケットキャプチャ機能

また、AIアシスタント機能を利用することで、トラブル原因が広範囲に影響を与える前に対処を行うことも可能です。

Marvis =AIアシスタント

AIアシスタントの機能を提供するMarvis は、無線、有線LAN、WANに限らずネットワークにおける様々な問題を発見、分類し解決策を提示してくれます。

図5:Mist管理ダッシュボード Marvis アクション

図5では、レイヤー1のケーブル障害や、AP での問題、WANルーターでの障害発生件数を表示しています。そしてLANスイッチを選択するとVLANがAPに設定されていないことを発見し、解決策までの提示がなされています。
管理者は、AIアシスタントに障害を分類してもらい、影響度から対応優先度を考慮、解決策に基づきプロアクティブな解決を行うことで運用負担を大幅に軽減することができます。

またMarvis は、チャットボックスからアシスタント機能を提供することも可能で、特定の利用ユーザーの問題を即座に絞り込み、管理者は早期に原因の説明と対策検討を行うことが可能となります。

ジュニパーネットワークス社の公開事例ではおよそ9割のトラブル対応を削減された御客様の声もあり、Mist AIがネットワーク運用におけるDX実現のために大きく期待ができるソリューションであることが分かります。

以上で、Mist AIソリューションの概要となりますが、三谷商事ではHPE社、ジュニパーネットワークス社の双方とパートナー契約と多くの実績があり、御客様のネットワーク課題に即したソリューションを適切にご提案が可能です。
ご興味をお持ちの御客様は是非お声掛け頂けますと幸いです。

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