VMwareのライセンス体系が大幅に変更!それぞれの内容について詳しく解説!
- 2024.07.25
- クラウドサービス基礎知識
2022年5月、BroadcomはVMwareを買収すると発表。様々な課題や手続きを乗り越え、2024年2月に買収が完了しました。これに伴い、VMwareではライセンス体系が大きく変わりました。今回は4つあるライセンスについて、詳しく解説していきます。
VMwareのライセンス体系の変更
VMwareは、物理的な一台のコンピュータ上にソフトウェアによって仮想的に複数のコンピュータを立ち上げ、動作させるためのソフトウェアを開発・提供している企業です。サーバーを仮想化することでハードウェアリソースを効率的に利用でき、余剰設備も不要になるため、ハードウェアのメンテナンス負担も軽減します。さらに、仮想マシンを一つのファイルとして管理でき、仮想マシンごとにバックアップの取得が可能です。
現在は仮想化を進める企業が増えていますが、そこでよく使われているのがVMwareの製品です。ネットワークやセキュリティなどの機能を一元的に提供するVMware NSXや、WAN回線を仮想的に統合することで、通信品質を最適化するVMware SD-WAN、VMwareの製品を安全でスムーズにクラウド活用できるようにするVMware Cloudなど、様々な製品が活用されています。
このようにすでに多くの企業でVMware製品が導入されていますが、ライセンス体系が大幅に変更されると発表されました。これは、半導体メーカーであるBroadcomに買収されたことがきっかけです。
最も大きな変更点は、永続ライセンスの撤廃です。ライセンスを問わず、すべてサブスクリプション形式で提供されます。VMware Cloud Foundation(VCF)、VMware vSphere Foundation(VVF)、VMware vSphere Standard(VVS)、VMware vSphere Essentials Plus(VVEP)の4つのエディションで提供されることになります。
なお、すでに契約しているユーザーに関しては、サポート期限終了まで特に影響はなく、更新時にサブスクリプションへの移行が必要となります。これから新規契約するユーザーは、新しい料金体系を確認する必要があります。
VMwareの新しい料金体系
新しい料金体系は、4つのエディションに分かれています。
1つ目が、VMware Cloud Foundation(VCF)です。
フルスタックのインフラを利用したい顧客向けで、Select Supportを受けられます。購入単位は、物理1CPUあたり最小16コアライセンスです。唯一Select Supportを受けられるプランで、サービスの制限もありません。アドオンサービスもすべて利用できます。
VMware vSphere はEnterprise Plusが適用され、VMware vSANはEnterpriseで1コアあたり1TiBライセンスが付属となります。VMware Aria Suiteでは、Enterpriseが適用されます。アドオンに関する制限もありません。
2つ目は、VMware vSphere Foundation(VVF)です。
中規模から大規模の仮想環境向けで、Production Supportを受けられます。購入単位は、VCFと同様です。VCFとの違いは、VMware Aria SuiteがEnterpriseではなくStandardであること、VMware NSX Networking for VCF、VMware HCX Enterprise、VMware Aria Operations for Networks Enterprise、SDDC Managerが利用不可であることです。アドオンに関しては、VMware FirewallとVMware Firewall with ATP以外は利用できます。
3つ目は、VMware vSphere Standard(VVS)です。小規模から中規模の仮想環境向けで、Production Supportを受けられます。購入単位は物理1CPUあたり最小16コアライセンスです。VMware vSAN、VMware Aria Suite、VMware NSX Networking for VCF、VMware HCX Enterprise、VMware Aria Operations for Networks Enterprise、SDDC Manageの利用はできません。アドオンに関しては、VMware vSAN per TiB、VMware Firewall、VMware Firewall with ATPは使えませんが、それ以外のサービスは利用できます。
4つ目が、VMware vSphere Essentials Plus(VVEP) です。
小規模な仮想環境向けで、Production Supportを受けられます。1セットにつき96コアまでで、最大2セットまで拡張できます。利用不可のサービスは、VVSと同様です。差異としては、VVEPはVMware vSphereがEssentials Plusであるのに対し、 VVSはStandardとなります。また、VMware vCenterに関しては、VVEPはEssentialsですが、VVSはStandardです。
このように4つに集約されたことで、製品を選定する際の複雑性は解消されました。一方で、プランによっては業務には使わない機能も含めて購入せざるをえず、割高になる点がデメリットです。
また、顧客はVMware側によってStrategic、Corporate、Commercialの3つのカテゴリにわけられます。Strategicに分類されるとVCFしか購入できず、コストは非常に高くなります。CorporateだとVCFとVVFから選ぶことが可能です。こういった制限から、実際に必要なもの以上のプランを選ばざるをえなくなることもあるでしょう。
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