とみちゃんさん
私のはじめての Macは Macintosh LC-475。1993年、暮れも押し迫ったボーナス商戦大詰めの時期、ふらっと入ったとあるお店で、私は PowerBook180cに目を奪われていた。今でこそ購入しやすくなった Macも、当時は誰にでも気軽に購入できるようなものではなく、一部の限られた人だけに使われる夢のマシンだった。
限られた人とは、アーティストでありデザイナーでありパブリッシャーのようなクリエイティブなお仕事をされている人たちだ。その時お店に並んでいた PowerBook180cは、何と ¥248,000― 頑張れば私にも手が届く値段だった。憧れのデザイナーたちでも持っている人は少ないであろうカラーの PowerBookを持てるかも知れない・・・しばし私は妄想を膨らませていた。
そんな私に「ある店員さん」が声をかける。Macの魅力や活用法など、丁寧に教えてくれて、希望に満ちたプレゼン・・・。私へのヒアリングの結果 PowerBook180cではなく、Macintosh LC-475を私に勧めてくれた。LC-475は、多くのデザイナーに愛用される Macintosh ciよりも高性能だった。
LC-475が私の家に来た時の印象は鮮烈だった。都会的で洗練されたデザイン。今までのコンピューターが事務機器に見えた。ファイル一つコピーするのにも大騒ぎだったこれまでのコンピュータに比べ「見たまま」の操作ができる Macに感激した。「こうするとどうなるだろう」と、直感を頼りに説明書を見ないで操作そのものを楽しんだ。
そんな LC-475も RAMを 20MBに増設したところまでで拡張性に行き詰まりを感じた。16MBのSIMMに¥60,000―を要するのだ。そして PowerMac8500の購入を決意。例の「店員さん」から・・・。
購入時に 64MBの DIMMを 2枚、V-RAMを 2枚、そして 1.2GBの FireBallを下段にスタックにしてもらった。将来 MOドライブを増設するために、上段スロット空けておくためだ。その際、無理をお願いして、それぞれのセットアップ作業を、私の目の前でレクチャーを交えながらしていただいた。将来 Macのメンテナンスを自分でできるようにするためだ。
そんな PowerMac8500もトラブルに見舞われたことがあった。購入後 6ヶ月ほど経過した頃、表示にノイズが混じるようになってしまった。一度お店に持ち込んだが、その時は症状が再現されずに修理してもらえなかった。そうしたところ「その店員さん」わざわざ私の家まで来て、症状の確認とその場で修理までして下さった。故障の原因は V-RAMの一つがとんでしまっていた事だった。「その店員さん」は、それを予測して、予め予備の V-RAMを用意して下さっていたのだ。「その店員さん」がいるお店から私の家までは電車で3時間もかかる。尊敬! 感謝!
私は友だちの調子の悪い Macを診てあげるのが好きなのだが、それはこの時の経験があるからだ。
私にとっての Macとの出会いは「人」との出会いでもあった。