導入事例

「iPad」を案内業務で他言語活用

株式会社ゆりかもめ様

「新交通ゆりかもめ」(以下、ゆりかもめ)は、東京都が開発を進める臨海副都心と都心を結ぶ公共交通機関です。1995年の開通以来、人にも環境にも優しいユニバーサルな交通機関を目指してきました。
今年3月には国際観光の拠点化を踏まえた取り組みとして、iPad による案内業務がスタート。
導入に至った経緯と活用法について、株式会社ゆりかもめ・運輸部運輸課の関弘毅氏に伺いました。

VPN を使ったセキュアな閉鎖的ネットワークと 多言語対応アプリで案内業務の向上に寄与。多様化する外国人利用客に応えるため各駅へのiPad 導入が決定

レインボーブリッジや東京ビッグサイト、ダイバーシティ東京など、今や東京の一大観光スポットとして知られる臨海副都心。東京ドーム約90 個分の土地にはオフィスビルや学校、病院、住宅なども整備され、職・住・学・遊の機能が複合した都市として発展しています。 同地域の観光・街づくりを支えるゆりかもめは全16 駅を5分間隔で運行し、毎日約11 万人が利用しています。

株式会社ゆりかもめ様が特に力を入れているのが「誰もが利用できる交通機関」への取り組みです。全駅にエレベーターや点字ブロックを設置するなど、体の不自由な方や高齢の方にも配慮したサービスを提供。最近は増えてきた中国や韓国の利用客への案内業務向上が急務となっていました。

同社サイトではすでに英語、中国語、韓国語でも案内情報が閲覧できたため、まずはサイトを手軽に見せられたらと駅員のiPad 活用を検討。2012 年3月、標準設定の iPad を試験的に4台、主要駅で使ってみることにしました。「普段からiPad を使う駅員やお客様が多かったこともあって、予想以上に活用できることが分かりました」

利用客向けに活用方法を改良すれば、より便利な案内ツールになると判断。4月には全駅へ計20 台のiPad導入が本格的に決定しました。ちょうどその頃、東京都が臨海副都心の国際観光拠点化につながる事業を補助する制度を新設。同社のiPad導入が補助対象事業に決まったことで「社内全体の士気が一層高まりました」

ご担当者様写真

株式会社ゆりかもめ
運輸部運輸課 運転係長
関 弘毅 氏

担当者様のコメント

正直最初は何から手をつけていいか分からない状態でした。
三谷商事さんにはiPad導入だけでなく、こちらのニーズを細かく汲んでくれた上で、通信インフラからトータルでご提案いただけたので本当に助かりました。
業務の質を高めるにあたってiPadの可能性は無限にあると思いますので、今後も多角的なiPad活用方法をぜひ提案していただきたいです。

弊社開発の「多言語対応アプリ」でよりきめ細かい案内業務が可能に

 全駅へのiPad 導入にあたり、まずは安定した動作 環境の整備が急務でした。試験導入では駅構内の無線 LAN を使ってネットにアクセスしていましたが、臨海 地域でのイベントなどでゆりかもめ利用者が急増すると 回線がパンクしてつながりにくくなり、案内業務に支障 が出ていました。解決するにはしっかりした通信基盤が 必要ですが、全駅に専用回線を引くとなるとコストと時 間が大幅にかかってしまいます。

「特に時間の問題が大きかったですね。都の補助が決定 した9月時点で、決算時期の翌年3月までにすべての作 業を終了させる必要が出てきたのです」

 そこで弊社は、各駅の拠点を閉域のIP ネットワーク内 で接続できるVPN(Virtual Private Network:仮想専 用線)サービス(『フレッツ・VPN ワイド』※)を使ったネッ トワーク構築を提案しました。サーバ設置はセンターと なる始発駅のみとし、各拠点からのインターネットアク セスはすべてこのセンター経由で実施。拠点ごとのプロ バイダ契約や、複雑なセキュリティ設定が必要無いため、 ネットワーク構築にかかるコストと時間を大幅に削減す ることができました。

 また、クラウドサービスを使ってiPad の運用・管理 を全面サポート。各駅にIT 技術者がいなくてもiPad の接続不具合や紛失時等にすぐに対処できる体制を整え ました。

※ NTT 東日本/西日本が提供する、光回線(「フレッツ光ネク スト」や「B フレッツ」)や
  ADSL(「フレッツ・ADSL」)な どを利用して、複数の拠点を結ぶことができるVPN サービス。

▲ iPadで周辺施設を案内する駅員。言葉が通じなくても円滑な案内業務につながっている。聴覚障害者向けに筆談も利用できる。

弊社開発の「多言語対応アプリ」で よりきめ細かい案内業務が可能に

今回のソリューションでは、日本語、英語、中国語、韓国語の4つの言語に対応した「多言語対応アプリ」を弊社で開発。誰もが欲しい情報に効率よくアクセスできる仕組みを実現しました。アプリのホーム画面でまず言語を選ぶと、「乗換案内」や「周辺施設案内」など6つのメニューボタンがその言語で表示され、利用客はここから欲しい情報へとストレスなくアクセスできます。さらに駅ごとにアプリ内のリンク先を細かくカスタマイズ。

例えば「台場」駅に導入するアプリの「周辺施設案内」には「フジテレビ」や「ダイバーシティ東京」のサイトリンクを設置するなど、その駅を基点にしたリンク構築に配慮し、関氏からは「よりきめ細かい案内ができるようになった」と喜んでいただきました。

今後は駅員同士の情報共有にもiPadを活用し、案内業務の質をさらに高めていきたいと抱負を語る関氏。2016年には築地市場が移転することで、外国からの利用者増加が益々期待されています。国籍を問わずすべての人々が快適に使える交通機関を目指す同社の取り組みは、臨海副都心の発展のみならず、日本全体の国際競争力をも推進する先駆的な事業として注目されています。

株式会社ゆりかもめ 東京本社様

  • 所在地
    東京都江東区有明3丁目13-1
  • TEL
    03-3529-7777
  • FAX
    03-3529-7793
  • URL
    https://www.yurikamome.co.jp/
  • 設立
    1988 年4月25 日
  • 事業内容
    鉄道事業、軌道事業
  • 従業員
    194 人(2012 年度)
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営業担当マンよりひとこと

駅員の方から、今まで対応が難しかった外国人観光客の方への対応がスムーズにできるようになり、大変便利になったというお言葉を頂戴し、大変嬉しく思っております。今後もゆりかもめ様のIT活用に関してお役に立てるよう精一杯努力して参ります。

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  • 情報ソリューション事業部
    東京支店
    本堂 昌孝

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